selected by Utayo Furukuni
 

Remember 1995 and 1996

押し入れの中に、無造作に積まれた様々なモノの山...。これらを片付けようとすると、いつも昔のことが頭をよぎり、一向に手が動かない。写真、雑誌、手紙etc...ここにはロンドンの匂いが今も漂っている。

1995年春、ロンドンに渡り、キテレツ・サバイバル生活が始まったわけだが、常に音楽からインスピレーションを受けた毎日は、今も鮮明に覚えている。英語もカタコトしか話せず、それでも自分たちが体験しているリアルタイムの音楽を多くの人にも感じて欲しいと、当時、我々が発行していた雑誌のため、躍起に走り回っていたあの頃...。 1995年と1996年、この2年間は自己のアイデンティティを形にした年月であろうし、この経過がなければ、今の自分もいないのかな?なんて思ったりする。

それにしてもあのエネルギーは、果たしてどこから生まれたものなのだろう?結構バカなこともやったし、男で言えば、大人になりきれていない、まだまだやんちゃなラッドだった(笑)。

と言うわけで、1995年と1996年を振り返り、思い出ポロポロ・コンピ特集、全11トラック。



Sep 2003
Oct 2003
Nov 2003
Dec 2003
Jan / Feb 2004
Mar / Apr 2004
May / Jun 2004
2004 Best
Compilations 1
Compilations 2




Kingmaker / High As a Kite


1995年5月、彼たちはサード・アルバム『In The Best Possible Taste』のリリースに向け、イギリス・ツアーを決行。この曲はファースト・アルバム『Eat Yourself Whole』に収録されているが、決定的に、ライヴのハイライト・ソングであった。その後、程なくして解散...。これには脱力感が全身を襲った。部屋でシクシク泣いちまった私...。だって、キングメイカーは私の青春だったのよ...。遅咲きのだけれど...。


#01

Longpigs / Lost Myself(以下ファースト・アルバム『The Sun Is Often Out』全曲)


ロンドン、キングスクロスにあるヴェニュー、Water Ratsで初めて見た彼たちのライヴは、息を呑むほど圧倒的なオーラを放っていた。リチャード・ホーリーの唸るギターと、クリスピン・ハントの壊れたヴォーカル、この絡み合いの美しかったこと...。旅ガラスとなり、イギリス縦断したのも、このバンドと出会ってからだ。おかげで、美味いフィッシュ&チップスが食えたっす...。


#02

Soul Coughing / Sugar Free Jazz


同じアパートに住んでいたアメリカ人女性にレコメンドされて、一緒にライヴを見に行った。一目惚れ〜。メンバーそれぞれがプレイする、パフォーマンス・アビリティーの高さに圧倒!インプロヴィゼーションの風が吹く〜。それに加えルースなかっこよさが、たまらなく鼻血ブー!であった。この曲が収録されているファースト・アルバム『Ruby Vroom』(1994年リリース)は必聴。


#03

Baby Bird / Lemonade Baby


ロングピグスと同郷、シェフィールド出身。シンガー、スティーヴン・ジョーンズを中心に、バンド・メンバー全員が粋なブロークだった。何と言ってもキーボードのヒューは俳優...。色男だぜ!『You Are Gorgeous』の大ヒットで一躍注目されたが、スティーヴン・ジョーンズの魅力は、最大限に駆使された想像力の豊かな世界だ。初期に7インチでリリースされたこの曲、天使のつぶやき、ナイーヴな感性が伝わってくる。


#04

Cable / Seventy


歪んだ爆発的ノイズが無遠慮に押し寄せてきたかと思うと、シンプルなマットのヴォーカルと、ダリウスの押さえたギターフレーズが、静寂の中に冴え響く...。当時のイギリスで、このようなサウンドをクリエイトするのは、意外と珍しかったのでは?と思う今日この頃。ポップでふにゃちゃけた音楽(例:ロモ←死語)が蔓延していた中、一際クールな主張であった。この曲は、人を狂気に陥れる魔法だ。


#05

Girl Of The Year / Yeah Yeah Yeah


少年性を秘めた思春期的揺らぎが何ともたまらなく、私の感性につんつんと突っついてきたバンド。ポール・オーエン(Vo&G)のダークで憂いのある表情(頬がピンクである以外、同郷出身(チェルトナム)のブライアン・ジョーンズに似ていた...)が、疾走感のあるギターサウンドと、ほぼ3分でフィニッシュするポップなメロディー・チューンがみごとにマッチ。やられた...。胸がキュンとする...。


#06

Big White Stairs / So Long


トレイル・オブ・デッドの前に、彼たちがいたのかもしれない。あの破壊力といったら...。ともかくライヴはハプニングの連続。おまけに実生活もハプニングだらけ。(推測)セックス・ピストルズ顔負けのロックなイギリス北部人生を、腕の傷が物語っていた(約一名)。エリオット・スミスそっくりなアンドリュー・ヤングのギターテクニックは超一級!メンバーはフォトジェニック、そして腕っ節も強かった(約一名)。でもって、シャイ。北の人間は温かい...。


#07

Cornershop / Jullander Shere


その昔、モリッシーのポスターに火をつけ、パンキッシュなイメージが強かった彼たち。しかし、そのイメージが180度転換!ライヴでは、いきなりフロアに座り、各々の楽器を黙々とプレイ。その姿のストイックなこと!延々と続くシタールの音色にトランス状態。たまたま、トッテナムコートロードのバス停でテジンジャーを見かけ話した。「イースト・ロンドンに住んでいるんだ」そう言った彼のはにかんだ笑顔が忘れられない。


#08

Speedy / A Day In The Life


ベイビーバードのサポート・バンドとしてライヴを見たのだが、プレイする彼たちの楽しそうな笑顔は天下一品!そんな彼たちに魅せられてか、ロンドンでライヴがある時は、はるばる遠くから遠征していたファンも多かった。ともかくキャッチーで、ポップで、ユーモアたっぷりなスピーディーは、個人的にはブリット・ポップ一等星であった。なのに、突然の解散...。音楽業界はシビア過ぎる...。


#09

Heavy Stereo / Smiler


これほどまでにメンバーがクールで、ビジュアル的にもかっこいいバンドがいただろうか?ルースで、ストリート感覚溢れるヘビーステレオの存在感。ブンブンと唸るギターサウンドのざらつきが、今も感触として残っている。シンガーのゲムは本当に輝いていた。今はオアシスをサポートしているゲム、私はいつでもヘビーステレオを待っている!彼たちのマネージャーの名前がチャーリー・ブラウンというのも笑えた。


#10

Cast / Walkway


誰が何と言おうと、彼たちを非難しようと、1995年はキャストの年であった。そして、そのポジティヴな音楽は、きっと多くの人の心に届いていたはずだ。忘れられないのは、ジョン・パワーのファンに接する態度。涙モノにナチュラルで優しかった。そしてインタビューで言った「君は運命を信じるかい?僕は信じる。だから今のメンバーと出会った」この言葉は、今も心に焼き付いている。


#11



英語ヴァージョン Up photos by ISE
Update Feedback Contact Home_Japanese