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■オーシャンズ12 |
観た日 2005-02-16 |
途中うとうとしてしまったのは仕事帰りだから、ってだけじゃない。フラッシュ・バックでプロットが前後するので、もうどーでもいいや、早く結末見せてよって感じ。’知的ゲーム’が好きな人は好き?なんだろう。前作大ヒットの余裕か、俳優たちはもはや趣味の域でゆるゆる。ヴァンサン・カッセルが登場してからは画面に釘付けになったけどね。彼だけがギラリとした緊張感を持っていた。新肉体派フレンチ男優である。そしてこんなところにいたの?エディ・イザード。声は確かに彼なんだけど・・・クレジットで名前確認しました。(ise)
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■パッチギ! |
観た日 2005-01-26 |
おもしろかったあ。前半大笑い。そして後半はやはり涙、であった。冒頭いきなり始まるのはGS全盛の68年、「失神バンド」として名を馳せたオックスのライブである。狭いジャズ喫茶でのライブ、酸欠でオーディエンス(ほぼ全員女子)もヴォーカルもお約束通り次々失神。GSに続き今度はフォーク、ザ・フォーククルセダーズの『イムジン河』がメインモチーフとなっているほか、彼らの曲がさまざまに使われている(音楽クレジットに加藤和彦)。前作『ゲロッパ!』もそうだったが音楽が重要な要素になっている井筒作品、監督が音楽をどうとらえているのか聞いてみたい。68年はヴェトナム戦争においてはテト攻勢の年、北爆が一部停止された年であり、日本では学生運動が沸点に達した年でもあった。今や伝説となった「京大西部講堂」が背景に登場する。ここでギグをやることが以後70年代の関西パンクムーヴメントではとても意味のあることだったのだ。関西芸人が多数出演、空手部主将大西をケンドーコバヤシが怪演して笑わせる。暴力シーンは相変わらずエグいが、同じ関西でも舞台は京都、多少はんなりと・・・んなわけないか。あのビー玉はマジ痛そう。
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■Mr.インクレディブル |
観た日 2005-01-08 |
まあよくできたCGである。自分もスーパー・ヒーローになれると思いこんだ狂信的なファンの自己顕示欲が悪の計画を生み出してしまう。自分はスーパーでもなんでもないただの人。野心家にとってはそう認めることのほうが、よほど勇気がいることに違いない。5歳児と一緒に観たので吹き替え版だったが、インクレディブル夫人へレンの黒木瞳、とてもチャーミングだった。(ise)
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■レディ・ジョーカー |
観た日 2004-12-21 |
●読んでから見るか、見てから読むか。
原作を読んだか否かで印象・および満足度はかなり変わってくると思う。私は読んだ組。登場人物たちの心理を原作で知っているから、かなり補いつつ観ていた。原作の多層な人物配置が警察・企業・犯人の3つにしぼられ、報道・検察関係者はすべて削除されている(合田の義兄・加納まで・・・涙)。上下2段組、850ページ以上の大長編を2時間1分に収めるなんて所詮無理なことなんだから、2時間のストーリーにどれだけ独立性とリアリティを持たせるかに興味があった。
テンポ良くストーリーは運び、部落差別のこと・在日のこと、臆せずに書いてるなとけっこう引き込まれていた。それがあるシーンで一気に興ざめしてしまったのだ。誘拐された企業トップ城山が解放され会社にもどったおり、秘書が軽食を持ってくるのだが、それが社員食堂のようなフロア。大事件に巻き込まれた社長がもどってきたというときに、画面のこちらでは女性社員が社長に見向きもせずに話している。「シェフからよろしくとのことでした」といって秘書が差し出すトレイにはビールとチープなサンドイッチである。いかにも社員食堂で出そうなサンドイッチと「シェフ」がそぐわないし、「日の出マイスター」ともそぐわないだろう!こういうなおざりなディテールが全体を台無しにする。合田と捜査方法で対立する平田(国村隼)とのやりとりも一応武道場が舞台だが、胴着を着せ、竹刀の1つでも持たせてやればフィジカルな緊張感も出るのにとやきもきした。
演技的には長塚京三(城山)がこの映画に1本筋を通す。渡哲也の物井はきれい過ぎる。城山の義弟杉原(辰巳琢郎)、義弟というより息子に見えた。新人徳重聡は顔立ちからすると「陽」なので「陰」の代表のような合田のイメージと合わないのではと思ったが、意外と頬にかげりがあって(照明効果か?)若き合田として印象は悪くなかった。演技はまるで棒立ち状態だが。彼とからむ半田刑事は吉川晃司が嬉々としてやっていて「吉川刑事」と言いたくなるほど。
全体にもっと時間をかけてじっくり制作されていたら、と思った。制作・出演サイドのさまざまな思惑があったのだろうが、せっかくの題材がもったいない気がした。(ise)
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■コラテラル |
観た日 2004-12-08 |
トム・クルーズが盛んに宣伝していたように、デジタル・カメラ撮影で可能になった夜のLAがシュールだったし、タクシー内での微妙な人の表情が生々しかった。ストーリーは途中から結末が見えてしまうけれど、結構引っぱっていくし、ディスコでのモブ・シーンもこれはハリウッドにしかできないな、と思わせる見事な手際だった。ジャズ・バーでマイルス・デイヴィスの話をするシーンにはにやっとしたし(ここでのJ・フォックス印象的)。しかし観終わって2時間、フログに書こうと映画を反芻したが、なーんにもないのだ。これには我ながら驚いた。普通映画を観たあとって、何か心にわだかまりが残るものだし、感情的にも少しは影響されるものだけれど、今自分の中に何も残っていないのだ。「はー、おもしろかった」、フル・ストップ、である。ある意味、見事なまでに完結した、パーフェクトな作品だったのかもしれん(笑)。(ise)
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■笑いの大学 |
観た日 2004-11-24 |
昭和15年、日本が南方進出を決め、日独伊三国軍事同盟を結び、真珠湾攻撃を翌年に控えたころ、世の中お笑いどころじゃなかったであろう時代の話。検閲官(役所広司)と脚本家(稲垣吾郎)の攻防を計7日間の時間軸にそって見せる2人芝居。丁々発止のやり取りはいつもの三谷作品。ただ「検閲」に対して、それがどれほどの深刻さを持つものか正直実感がない。「検閲」を「上司のダメ出し」「ライバル会社の横やり」くらいにしかとらえることができないのだ。映画館には年配の方もいたが、彼らのほうがより身近な現実として感じられたのではないだろうか。真っ黒に塗りつぶされた教科書で授業を受けた世代である。(ise)
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■血と骨 |
観た日 2004-11-17 |
●金俊平=ビートたけしのパワーが沸騰していた。俳優たちの演技のスパーク。みょーな大阪弁も多々あったが、まあ赦そう。現場の緊張と昂揚はどんなだったか、想像するだけで怖くもあり、うらやましくもある。高信義を演じた松重豊が最高。冒頭、君が代丸船上の15歳の金俊平、そしてラスト、臨終の俊平を見取る息子龍一、ともに演じるのは伊藤淳史である。始めと終わりに彼の顔を持ってくることで、1つの円(物語)がきっちりと閉じられた感じがした。家族の物語、時代の物語、男と女、親と子、友人、戦争、民族、イデオロギー、それらが積めこまれ圧縮され発酵してしている。まるでキムチみたい!いきいきと赤くて辛く、酸っぱくてあまく、うまい。
美術が素晴らしくて、小道具までニクイ。俊平と信義が列車の中で弁当を食べるシーン。キムチをネスカフェの空き瓶(大)に入れて持参しているのだ。最高にリアル!原作を読んだときもそうだったが、これを見て亡き開高健はどう言っただろう、そんなquestionに取りつかれた。(ise)
●R指定・・・けっこうハードにからんでましたね(笑)。
冒頭の出稼ぎの人たちを乗せた船が大阪に入ってくるシーン、まるでニューヨークに移民船が入って来て、移民達が「自由の女神」を見る・・・ようなイメージで撮ってあって、船上の人たちが「大阪だ!」と希望と期待に満ちた声で叫ぶのを聞いて複雑な気持ちになりました。その期待に大阪(日本)はどう応えたのか・・・。監督は「長屋」を描きたかったと述べています。その赤裸の人間模様。原作ではもっと金俊平の内部・心情に踏み込んでいて、なぜこの男はこうなのか、という問いに答えようとしています。長編ですが、一気に読みました。(繰上)
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■砂と霧の家 |
観た日 2004-11-10 |
最初はジェニファー・コネリー演じるキャシーに同情できなかった。問題を先送りにし、決断を先延ばしにしてきた彼女。それが彼女の弱さからなのか、プライドの高さからなのか、たぶんその両方なんだろう、「助けてくれ」と言うかわりに「大丈夫」と言ってしまうんだろうな。一方のベラーニ大佐はプライドと自尊心のかたまりのような元イラン軍人だ。自分の権利を主張し、キャシーに対して容赦ない彼だが、追い詰められて自殺をはかった彼女を「傷ついた鳥のようだ。家に飛び込んできた鳥は天使の化身だ」そう言って保護してやるのである。イスラムの「ホスピタリティ」。(大佐の妻のぎこちないやさしさは、ロンドンで会った何人かのアジア女性を私に思い出させる・・・)
イラン人の大佐VSアメリカ人キャシーのような図だが、キャシーもまたアメリカの競争原理につぶされそうになっている人間だと気づく。大佐はイスラム革命によって国を追われた。キャシーもまた家を追われた人間なのだ。ラスト、大佐は最愛の息子をもう1つのアメリカの原理、「銃」によって失う。未来が、そこで絶たれてしまった。(ise)
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■モーターサイクル・ダイアリーズ |
観た日 2004-11-03 |
ひさびさの感動!全然説教くさくないところがすばらしい。旅立ちのシーンではわくわくした。旅はいいよー。エルネスト・ゲバラを演じるガエル・ガルシア・ベルナルは瑞々しく美しい!年上の相棒アルベルトとのコンビもばっちりで、デコボコ道中を繰り広げる。国境を超えても同じ言葉(スペイン語)で普通に話しているのがうらやましかったなあ。途中アンデスに分け入っていくところなどはコッポラの「地獄の黙示録」を思い出した。2人は、病める人たち、貧しい人たちに出会い、話を聞くにつれ、その人たちに寄りそう気持ちを深めていく。声高には語らない。静かに胸に刻み込んでいく感じだ。抑制が効いていて、しかもロマンを失っていない。チェ・ゲバラという題材が新鮮だからなんだろうなあ。(ise)
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■2046 |
観た日 2004-11-02 |
登場する女たちがみな涙にくれていた。彼を優しいと慕うがその優しさが残酷なのだ。罪な男トニー・レオンである。錯綜する過去・近未来・さまざまなイメージをトニー・レオンがしっかり繋ぎ止め、「彼と女たち」のストーリーを維持している。木村拓也はナレーションも担当しているのだが、日本語自体にあまり抑揚がないせいもあるのだろうが、陰影に乏しかった。正直、小学生が教科書をゆっくり読んでいるような口調でしたわ。「アジアの」と形容される監督だが、非常にヨーロッパ的だと思った。役者をまんま入れ替え、ヨーロッパで作っても成立しそうだ。舞台となった60年代香港・シンガポールがそういう雰囲気を持っていたのだろうか。(ise)
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■シークレット・ウィンドウ |
観た日 2004-10-27 |
種明かし、早過ぎるだろう!単純過ぎるだろう!そんなんでいいの?もっと見ているほうにあれ?あれ?と疑いをもたせてヤキモキさせてからやっぱり、と展開してほしいな。いきなり「あれ」はないでしょう。ミステリーとしては稚拙だな。コロンボ的な緻密さやロジックは横に置かれてしまってる。でもジョン・タルトゥーロの妄想狂演技には酔い痴れたね。一方のジョニー・デップはぼさぼさ髪によれよれのガウン、1行も書けないスランプの作家を「キュート」に楽しそうにやってます。実生活でもあんななのかな?とうもろこしは当分食べたくない、と思わせるようなエンディングでした。うえっ。(ise)
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■モンスター |
観た日 2004-10-10 |
酒と煙草。そんなに飲んで吸ったら判断力もなくなるだろうに・・・。主人公に差し伸べられる手が1つもなかった、というのが見ていてつらかった。『プリティ・ウーマン』の残酷なまでのリヴァース・ヴァージョン。
物語の背景が80年代ということもあり、また主人公の気持ちを代弁するリリックということでジャーニーの大ヒット曲 『Don't
Stop Believin'』 がテーマ曲として使われているが、これがシラける。この曲は使われすぎたし、既成のヒット・ソングに、しかも大盛り上がり系の歌い上げロック・バラードに、このような映画の心情を託すのは手抜きだ。この曲をバックにした2人のラブ・シーンもチープな印象になってしまった。(そのチープな関係にすべてをかけてのめり込み、突っ走ってしまう主人公との苦い対比、というなら3歩だけ譲ろう) (ise)
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■アイ、ロボット |
観た日 2004-10-01 |
「3つの法則」によってがんじがらめにされたロボットたち。その「3つの法則」がまったく予期しなかった別の理論を導き出す--「革命」だ。このロジックは目ウロコだった。脚本もよかった。ちゃんとドラマがあるじゃないの!設定が今から30年後のシカゴだから入り易かった。主人公のロボット、サニーがいじらしいのだわ。センチな展開にもまんまと乗せられて涙が3滴出ました。VFXは驚異。ロボットのデザイン、顔は『未知との遭遇』の宇宙人だけど、首から下は流れるような美しさ。なによりクールだったのはウィル・スミス。タフなガタイに人なつっこい笑顔、ユーモア、まっとうな価値観。(ise)
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■ヴィレッジ |
観た日 2004-09-15 |
押してくる映画と引き込む映画がある。これはぐいっと引き込まれた。無口だがパッションを秘めたホアキン・フェニックスがいい。目ヂカラってんでしょうか。途中であっさりと謎解きされてしまう「村の秘密」。金持ちってこんなこともできるんだ、とあきれる。謎解きが終わってからもなお最後まで引っぱっていくのは役者の力なんだよ!カメオ出演のシャマランは・・・後ろ姿で新聞を読んでいた彼だな(笑)。(ise)
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■ヴァン・ヘルシング |
観た日 2004-09-08 |
役者の出演料をけちりまくり、その分CGに注ぎ込んだ特撮怪奇娯楽映画。しかし、ロマンのかけらもない。プラハ・ロケも値打ちなし。クリストファー・リー主演のドラキュラ映画で、冷たい知性をその神経質そうな顔に映したピーター・カッシングが懐かしい。それがマカロニ・ウエスタンになっちまった日にゃ・・・。おいおい!ハイド氏もまるでシュレックじゃないか!ケイト・ベッキンセールの巻きの強い髪もB級。
特撮のスピード感はジェット・コースター。バケモノども、動きが速いぞ!椅子から3度くらいは飛び上がりたい人はどうぞ。高所恐怖症の人は要注意です。(ise)
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■ディープ・ブルー |
観た日 2004-08-25 |
鯨・シャチ・イルカなどおなじみの生物たちの泳ぐ姿はカンフル剤。シャチがほとんど岸に乗りあがらんばかりの水際で、アシカの子供を襲うシーンはすごかった。そして餌の魚を追って水中深く潜っていく鳥!(驚)。イルカってジャンプするとき、体をねじったり、くるくる回転させながら着水したり、遊んでるんだよ!BBC制作補助の教育映画。23人のカメラマンに脱帽。人間が1人も出てこないヒューマンな映画。(ise)
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