Films index2
ジョニー・トー/ワイ・カーファイ監督
by  Utayo Furukuni


「運命のふたりなら僕らはもう、街のどこかですれちがっている」


映画のキャッチコピーは、何だかドキッとしてしまいます。そう、私たちは、知らず知らずのうち、どこかで運命の人とすれ違っているんでしょか?詩をこよなく愛する翻訳家のイブと、引っ込み思案で優しい音楽家のジョン。ふたりは幼い頃、夏のサマーキャンプで出会い、お互い気になる存在でした。サマーキャンプ最終日、ジョンはイヴから電話番号を渡されるのですが、思いもしないことが起こり、連絡が取れなくなります。覚えているのは、名札にあった名前代わりのID番号のみ。イヴが意を決してジョンに電話番号を渡すシーンは、もう、初々しくて。(笑)ジョンが降りる駅までずっと同じ電車に乗っているのです。自分が降りる駅はとっくに過ぎているのに。対するジョンは、電車の中、イヴと少し離れたところに座り、彼女を見つめていました。例え幼くても、この出会いはずっと、ずっと、心の隙間を埋めてくれるものとなるのです。


その十数年後、ひょんなことからふたりは公園で出会い、サマーキャンプで恋した人物だと分かるのです。瞬時に打ち解け合い、楽しい時間を過ごし、お互いの電話番号を交換します。しかし、またまた運命に翻弄されてしまい…。会いたいのに会えない、でもその実、ふたりはいつも近くにいるのに…。金城武演じるジョンは、左に曲がるクセがあり、ジジ・リョン演じるイブは右に曲がるクセがある。タイトルはここからきています。このふたりのクセからして、ふたりには運命のいたずらが待っているのです。おまけに、周囲の邪魔が入るんです。好きじゃないタイプの人に言い寄られて、困ってしまうふたり。この困ったちゃんコンビ、映画に笑いのスパイスをかなり振り撒いてくれてます。ナイーヴで消極的なふたりに較べて、パワー全開、すんごく積極的なんです。(笑)すっぽんの如く、ふたりに喰いつきまくり!(笑)しかし哀しいかな、彼たちはジョンとイヴに真剣に恋しちゃっても、到底叶わない存在なのです。それは、ジョンとイヴが初めて知り合ったサマーキャンプ場が閉鎖されることになり、そこで乗ったメリーゴーラウンドの木馬を、ふたりがそれぞれ自宅に持ち帰ったことで明確になります。「これはジョンが乗ったから」「これはイヴが乗ったから」。もう、それだけなんです。もう、その気持ちしかないんです。そして、薄ら汚れている木馬をきれいに掃除してあげて、互いを思い涙するふたり。メリーゴーラウンドというのが、またロマンティックな象徴です。(笑)そして、イブが大好きだと言う、ポーランドの女流詩人の詩には、胸を打たれました。「信じる気持ちがあれば何事も叶う」。彼女はいつもこの詩を読んで、ジョンを思っているのです。




私、日本中で騒がれた『世界の中心で愛を叫ぶ』とかダメなんですよ…(好きな方、ごめんなさい)。お決まりの如く「泣ける死想観念=病気」が、どうも苦手みたいで…。たぶん、私が劇場公開される映画で、絶対に見ないジャンルです。『ターンレフト ターンライト』は純愛映画(でしょう)でも、ほのぼのしているし、コメディ要素満載なので、逆にほろりとしちゃうのです。これは私の性格が反映されているのでしょうか?最後にようやくふたりが出会うシーンなんて、ちょっと有り得ない?シチュエーションで、くすっとしてしまいました。おまけに、この出会いをきっかけにふたりが成長して、自分の夢に向かっていく姿勢も、ポジティヴでステキです。


会社の同僚が『ターンレフト ターンライト』の絵本(映画の原作はジミーという絵本作家が書いた絵本なのです!)を持っていたので借りましたが…、何せ北京語(だったかな?)なもんで読めません!(笑)この絵本、中国、台湾、香港、韓国などでは「大人の絵本ブーム」の先駆けとなり、大ベストセーラーになったとのこと。また、イブ役のジジ・リョンのファッション、部屋のデザインが、キュートでかわいいです!大注目!そして、見終わった後…、舞台となった台湾に行きたくなりました。

映画は10月30日(土)からロードショーです。


2004-10-18
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