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一頭の小柄な競走馬が人々を結び付け、大恐慌下、どん底にあえぐ人々を勇気づけ、生きる希望を与えるーというJRAお墨付きの映画、『シービスケット』。映画館には競馬ファンらしいおじさんたちがいっぱい来ていました。
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前半は登場人物それぞれの過去が語られる。
まずは馬主。自動車ディーラーとして財をなしたチャールズハワード・(ジェフ・ブリッジス)。事故で一人息子を失い、妻にも去られ希望を見出せないまま気晴らしにとやってきたメキシコの競馬場でマーセラ(エリザベス・バンクス)と会い再婚。馬好きの彼女の影響で馬主となる。
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調教師トム・スミス(クリス・クーパー)はさすらいのカウボーイといったところ。寡黙で朴訥、しかし独自の哲学を持った男。終始彼に感情移入していた。一見酷薄なゲルマン系、銀髪が美しい。(彼が「アメリカン・ビューティー」のフィッツ大佐だとは家に帰ってネットで調べるまではわからなかった。不覚。しかもスパイク・ジョーンズ監督の「アダプテーション」でオスカーまで取っていたとは・・・。ルックスがまったくの別人!)
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そして騎手レッド・ポラード(トビー・マクガイア)。大恐慌で家も財産も失い路上でその日をしのぐのが精一杯となったポラード一家。ある日父ポラードは息子を草競馬の馬主にたくす。馬の世話係として働けば、食べて寝るだけはなんとかなりそうだったからだ。突然の家族との別れを悲しむヒマもない。不況化、自分だけを頼りに生きていかなければならない。彼が自分のなかに募らせる怒り-父に対する、恐慌に対する、社会に対する、他人に、自分の人生に対する怒り-自棄のように賭けボクシングで金を稼いだりしながら騎手をめざす。
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この三人を結びつけるのが小柄だが気性の荒い競走馬、シービスケットだ。後半はこの馬の出世物語である。
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馬好きの私としてはもっと馬と人間の関わり、ふれあいを見たかった。もっとサラブレッドの美しさをアピールしてほしかった。早朝の清浄な空気の中を走る馬や人の吐く息の白さ、レース後の上気した馬体、汗が塩となって流れている様子・・・そういったものを見たかった。しかし馬そのものを描くよりも、この馬が大恐慌下のアメリカで敗北感にうちひしがれた人々をいかに勇気づけたか、にテーマは傾いている。これも9・11の影響なのかもしれない・・・。多用されるニュース映像や写真でアメリカの市民史のお勉強をさせられながら、まあしょうがないか、これも背景説明だもんなあと、あくびをかみ殺した。
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脚本にも「あれ?」と思うようなところがあって、ハワードがマーセラと知り合うところで彼女は「姉イザベルが・・・」と自己紹介するのだが、イザベルって誰?状態。イザベルとハワードのつながりが読めない。またレッドがハワードから20ドル借金するのだが、その金を結局何に使ったのか説明がなく、せっぱつまって借りたはずの金の使途がわからん。内緒で眼科医に診てもらうための費用、というのなら後の伏線にもなるが・・・。(レッドはボクサー時代のハード・パンチがたたって、右眼を失明している)
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撮影に関しても不満がある。レース・シーンの、馬郡に入りこんでの撮影。まるで自分が騎手であるかのような位置から臨場感を味わえるのは素晴らしいと思ったが、肝心の画像がまるで合成のようなのだ。騎手と馬体の色彩がまるではめ込みのように見える。これは映画の冒頭、トム・スミスが登場する中西部の大地、その空の色の不自然さにもいえる。あまりにもわざとらしい青で、しかも山の稜線が微妙な凹凸を失っている。青空をはめこんだな、という疑問がむくむく湧いてしまった。
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しかし美しいシーンはたくさんある。田舎の、のどかな厩舎。紅葉のなかを疾走するサラブレッド。こんなところで馬の世話しながら暮らしていけたらなあと、夢を見させてくれた映画だった。
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Jasmin
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ここで皆さんに質問です。
「あなたの一番好きな動物は何ですか?」
「その理由は?」
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実は「あなたの一番好きな動物」、イコール「あなたの理想の恋人」らしいです。肝心なのは選んだ動物そのものではなくて、その「理由」なんですと。
もちろん私の答えは「サラブレッド」で「美しいから」。
趣味をモロ露呈してます(笑)。 |
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