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★結末にふれています。
1955年のイギリス映画『マダムと泥棒』。主演はなんとアレック・ギネス。ピター・セラーズ、ハーバート・ロムなんかも出てて、当時は大ヒットだったらしい。そのリメイクにコーエン・ブラザーズが挑戦、ってことで、行ってきました『レディ・キラーズ』。
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ミシシッピ川に浮かぶカジノ・ボートの売上金を盗むためにGHドア教授(トム・ハンクス)はかっこうの家を見つけ出した。間借り人を募集していたその家の持ち主は一人暮しの未亡人マンソン夫人(イルマ・P・ホール)。教授は中世教会音楽を演奏するバンドのメンバーであり、その練習のために地下室を使わせてくれるよう婦人を丸め込む。じつはその地下室からカジノの金庫室まで地下トンネルを掘り、大金を奪おうというのだ。
しかし、新聞広告で集めた4人の仲間達、実はその道の落ちこぼればかりのドジ・チームだった。まんまと160万ドル奪ったものの、タイミング悪く教会から戻ってきたマンソン婦人にばれてしまう。金を返すか、刑務所行きかせまられた教授達は口封じのために婦人の殺害を計画。しかし、神のご加護か婦人の強運か、殺しは失敗、メンバーたちは次々と自滅し、死んでしまう。最後には悪者はすべてミシシッピ川のゴミ島に流され、婦人と160万ドルが残る。さてその金を婦人はどうしたか?
@すべて自分の銀行口座に入れ、リッチに楽しく暮らした。
A教会に寄付した。
Bカジノに返した。
C学校に寄付した。
D亡き夫の名前を冠した奨学金制度を作った。
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映画としては賛否わかれた。
トム・ハンクスは好きな俳優じゃないけれど、コーエン・ブラザーズ監督ってことで行きました。監督が彼をどう料理するかに興味があって。一見平凡に見える人間関係や設定のなかに強烈なひねりをきかせたひりひりするようなユーモアと自虐が彼らの特徴だと思うのだけど、今回はまったくそれが発揮されなかった。
マンスン婦人はステレオタイプだし、教授の仲間たちも新聞広告で集めたプロってことだけど、とんでもない。それぞれがその道でのおちこぼれ。性格も悪いし、共感できねえ。ストーリーもキャラもステレオ・タイプなら、音楽もミシシッピってことで婦人が通う教会では典型的なゴスペル。コーディネートはTボーン・バーネット(映画「コールド・マウンテン』でも監修)。すれてない素直なオーディエンスにはおもしろいと思うが、あまりにも物足りない。新人監督でも同じ仕事はしたと思う。コーエン兄弟、最近作りすぎではないだろうか?
そしてオスカー俳優ながらどうしても好きになれないトム・ハンクス(笑)。(
彼とロビン・ウィリアムズはどうも・・・笑顔を作っていても眼が笑っていない。「俺は演技うまいだろう、うまいだろうってエゴが鼻につくんだ!)この映画ではハナから詐欺師・泥棒ってわかってるし、あのわざとらしく大仰な態度・しゃべり方は教授が演じているという設定だから、わざとらしさがわざとらしさで消されてかえってよかったかもしれない(苦笑)。あの「ケンケン笑い」(チキチキマシン猛レース)。しかしトム・ハンクスのベージュのスーツ姿が、どうしてもウェイン・コイン(ザ・フレーミング・リップス)に見えてきて、途中から教授=ウェインになっていた(笑)。それで救われたかも(笑)しれない。
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まったくいいとこなしのように書いたが(笑)、ミシシッピ川と周辺のロケは美しいし、きちんとハウス・キーピングの行き届いたマンソン婦人の家が快適そうで、こんな家に住んでみたいと思わせる(笑)。プラス、英語の勉強にはすごくなった。エドガー・アラン・ポーの詩の吟唱や、教授の普段の大仰な言葉遣い、スラングの数々・・・。映画としてより、むしろ舞台劇として見たほうがおもしろいのではないかと思う。
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DVD出てるからオリジナル『マダムと泥棒』を見よう。
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2004-05-25 |
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